食事・脳と食欲
脂っこいものが、
また食べたくなる?
高脂肪食と脳、玄米の研究
脂っこい食事が続くと、脳の食欲調節にも影響し、さらに高脂肪のものを好むという循環につながる可能性があります。 今回は、その仕組みについて研究で分かってきたことと、日々の食事に取り入れやすい玄米についてご紹介します。
- 加工食品などには、見た目では分かりにくい脂質が含まれています。
- 動物実験では、高脂肪食の開始後1〜3日で視床下部に炎症反応が確認された研究があります。
- 玄米とγ-オリザノールが高脂肪食への嗜好を弱めたという報告も、主に動物実験によるものです。
- 玄米は無理なく少量から。特定の食品だけに治療効果を期待しないことが大切です。
気づかないうちに増えやすい「見えない脂質」
日本人の食生活は長期的に変化し、脂質から摂るエネルギーの割合も昔に比べて高くなりました。 脂質は身体に必要な栄養素ですが、大切なのは量と質、そして摂り方です。
揚げ物の油や肉の脂身だけでなく、菓子パン、スナック菓子、ソーセージ、カレーのルウ、ドレッシングなどにも脂質は含まれます。 目に見えにくいため、意識しないまま摂取量が増えやすい点には注意が必要です。
高脂肪食と、食欲を調節する「視床下部」
視床下部は、食欲や体温、エネルギー代謝などの調節に関わる脳の重要な部位です。 マウスとラットを用いた研究では、高脂肪食を始めて1〜3日という早い段階から、視床下部に炎症性の反応が認められました。
長期間にわたって高脂肪食が続くと、食欲や体重を調節する働きが乱れ、肥満やインスリン抵抗性と関係する可能性が研究されています。 人でも、肥満と視床下部の障害との関連を示唆する画像研究がありますが、食事による変化を個人単位で断定できるものではありません。
1〜3日という結果は動物実験で観察された炎症反応です。人にそのまま当てはめたり、特定の食事だけを症状の原因と決めつけたりすることはできません。
脂っこいものを、また欲しくなる循環
高脂肪食が続くことで視床下部や脳の報酬系の働きに影響し、食欲や体重の調節が乱れ、さらに脂肪の多い食事を選びやすくなる——。 こうした循環が、肥満やインスリン抵抗性につながる可能性が考えられています。
ただし、食欲は睡眠、ストレス、運動、生活環境などにも左右されます。 「意志が弱い」と片づけるのではなく、食生活全体と生活リズムを一緒に見直すことが大切です。
そこで注目されている玄米とγ-オリザノール
玄米のぬか部分には、γ(ガンマ)-オリザノールという成分が含まれています。 琉球大学などの研究グループは、マウスに玄米やγ-オリザノールを与えると、視床下部の小胞体ストレスが軽減し、高脂肪食への嗜好が低下したと報告しています。
玄米にはγ-オリザノールだけでなく、食物繊維、ビタミン、ミネラルなども含まれます。 単一成分のサプリメントだけに頼るより、普段の食事の一部として玄米そのものを取り入れる方が、食事全体を見直すきっかけにもなります。
玄米は、無理のない量から始めましょう
- 最初は「白米2:玄米1」程度から試す
- まずは1日1食だけ置き換えてみる
- 商品や炊飯器の説明に従い、目安として6時間以上浸水させる
- 好みに応じ、炊飯時に少量の塩を加える
- 数日で判断せず、体調を見ながら1〜2か月ほど続けてみる
玄米が苦手な方は、白米に少しずつ混ぜる方法から始めてください。γ-オリザノールを含む米油を、普段使う油の選択肢にする方法もあります。 ただし、米油を使えば高脂肪食の影響を打ち消せるという意味ではありません。
胃腸が弱い方は、量を増やすと腹部の張りや消化の負担を感じる場合があります。よく噛み、少量から始めましょう。 腎臓病などで食事制限がある方、治療中の方は、主治医や管理栄養士へ相談してください。
当院が食事について大切にしていること
当院では、慢性的な不調を痛む場所だけの問題とは考えず、必要に応じて腸内環境、食事、睡眠なども伺います。 大切なのは、一つの食品を「万能薬」にすることではなく、その方が続けられる形で食生活を整えることです。
まずは、菓子パンやスナックなどを食べる回数を確認し、主食の一部を玄米に替えるところから始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献
※本記事は一般的な健康情報です。紹介した視床下部への影響やγ-オリザノールの作用は、主に動物実験で報告されたものであり、人で同様の効果が得られることを保証するものではありません。玄米や米油に疾病の予防・治療効果があると断定するものでもありません。体調に不安がある場合は医療機関へご相談ください。