睡眠・腸内環境
不眠と腸内環境には関係がある?
「眠れないのは腸の状態も関係しているのでしょうか?」 最近は、腸と脳が互いに影響し合う「腸脳相関」の研究が進み、 不眠と腸内細菌の構成には一定の関連がある可能性が報告されています。 ただし、腸内環境の乱れが不眠の原因だと断定できる段階ではありません。
- 不眠のある人とない人では、腸内細菌の構成が異なる傾向が報告されています。
- 不眠では、腸内細菌の多様性が低い傾向を示した研究が多くあります。
- 食事や体格、薬、持病などの影響もあり、原因と結果はまだ分かっていません。
- 腸内環境を整えるだけで不眠が改善する、と断定できる根拠は不足しています。
研究で報告されている主な関連
2026年に発表された系統的レビューとメタ解析では、成人9,036人を含む14研究がまとめられました。 その結果、不眠のある人では腸内細菌の多様性が低い傾向や、 健康な人とは異なる菌の構成が報告されています。
菌の種類では、酪酸を作ることで知られるFaecalibacterium(フィーカリバクテリウム)やLachnospira(ラクノスピラ)が少なく、Blautia(ブラウティア)などが多い傾向が示されました。 ただし、個人の不眠を診断できる「菌のパターン」が確立したわけではありません。
腸と睡眠が関連すると考えられる理由
腸と脳は、自律神経、免疫、ホルモン、腸内細菌が作る代謝物などを通して 双方向に情報をやり取りしています。睡眠不足がストレス反応や食欲、 食事時間を変化させ、その結果として腸内環境へ影響する可能性があります。 反対に、腸内環境の変化が炎症反応や神経伝達に関わり、 睡眠へ影響する可能性も研究されています。
「関連がある」と「原因である」は別です
現在の研究は観察研究が中心です。不眠のある人は、食事内容、運動量、体格、 服薬、ストレス、持病なども異なることがあり、腸内細菌だけの影響を切り分けるのは困難です。 そのため、「腸内環境が悪いから不眠になる」「不眠だから腸内環境が悪くなる」 のどちらか一方を断定することはできません。
2023年の臨床試験の系統的レビューとメタ解析では、 プロバイオティクスやプレバイオティクスによる腸内環境への介入が、 睡眠の質や睡眠時間を明確に改善するという結果は示されませんでした。 商品やサプリメントだけに頼らず、睡眠習慣全体を見直すことが大切です。
まず見直したい生活習慣
- 起きる時刻をできるだけ一定にする
- 朝に光を浴び、日中は適度に身体を動かす
- 夕方以降のカフェインや寝酒を控える
- 夜遅い食事や食べ過ぎを避ける
- 主食・主菜・副菜をそろえ、極端な食事制限をしない
- 眠れない状態が続く場合は、早めに医療機関へ相談する
すずらん接骨院の考え方
不眠や胃腸の不調があるとき、身体の緊張や自律神経の働き、 日々の食事・水分・活動・休息は互いに関係しています。 当院では「腸だけ」「睡眠だけ」と一部分で決めつけず、 身体全体の状態と生活習慣を丁寧に確認します。
施術や生活習慣の助言は医療機関での診断や治療に代わるものではありません。 不眠が長く続く、日中の生活へ大きく影響する、強いいびきや呼吸停止がある場合は、 睡眠を専門とする医療機関へご相談ください。
参考文献
- Chen S, et al. The association between gut microbiota and insomnia: A systematic review and meta-analysis. Sleep Medicine Reviews, 2026.
- Wang Y, et al. The Role of Gut Microbiota in Insomnia: A Systematic Review of Case-Control Studies. Life, 2025.
- Gil-Hernández E, et al. Effect of gut microbiota modulation on sleep: a systematic review and meta-analysis of clinical trials. Nutrition Reviews, 2023.
※本記事は一般的な健康情報です。診断や治療の代わりになるものではありません。 症状が続く場合や強い症状がある場合は、医療機関へご相談ください。